江戸時代から続く埼玉・盆栽町の清香園
江戸時代から続く老舗の盆栽園・清香園(せいこうえん:埼玉県さいたま市北区盆栽町268)は、
五代目の山田香織さんのもと、伝統技術や知識を駆使し、盆栽の未来を育てていきたいという思いがあります。
埼玉・盆栽町は、もともと関東大震災で被災した盆栽業者が大宮へ移り住み、つくられた町です。
現在の東京・台東区で創業した清香園さんも、太平洋戦争の戦災を逃れ、盆栽町に移住しました。
盆栽といえば、サザエさん。カツオが草野球をしていたら波平さんの盆栽を壊して怒られたり・・・。お父さん、男性の趣味というイメージを抱く人もいるかも知れませんが、清香園の五代目山田香織さんは男女関係なく盆栽を広めていきたいという思いがあるそうです。
2025年4月には東京・大丸に常設店をオープン。盆栽教室を開催しています。売場の一角で偶然盆栽と出会い、趣味として盆栽を始める人も増えています。
清香園では初心者向けの教室も開講しており、参加者の7〜8割は女性。広報担当の牧さんは「お教室では『水やりが一番不安』という声が多いです。夏は暑いから2回ですね。逆に冬はあげすぎてもいけない。その感覚をお教室ではお伝えしています」と授業のポイントを教えてくれました。
生徒の方が作成された盆栽。コンパクトでかわいらしい雰囲気ですね。
季節や盆栽の種類によって異なる水やりの加減は、初心者にはかなり難しいもの。清香園さんでは、水やりのタイミングを可視化した水やりチェッカーSUSteeをお取り扱いいただいています。
牧さんは「平均すると3年くらい、長い人だと10年くらいお教室に通われています。だんだん時間が経つと、ご自宅にある手持ちの盆栽が成長してきて、お手入れをする授業がメインになります。教室に通われている方は『SUSteeがあると安心できる』とおっしゃいます。ひと鉢目から枯れると、盆栽を増やそうと思わなくなる方もいらっしゃいますからね」。
清香園が運営する彩花盆栽教室では、どのように育てたらいいのか、どこを剪定してよいのかなど、教科書やテキストではわからない悩みも相談できるそうです。
最近はヨーロッパを中心とした海外からの来訪者も増加傾向。牧さんは「スペイン、ドイツ、イタリア、フランスの方が多いです。芸術に関心がある国民性で、自然に関心がある方も多いです。あと盆栽の哲学的な思想、侘び寂び、華道、茶道。結構深いことを知ろうという方も多い印象です」と話している。
海外からも注目を集めている盆栽。その定義とは?
牧さんによると「定義は結構広いです。ひと鉢の中で、1本の木を用いて、自然の風景を凝縮。鉢の中に、植物を通じて風景を描くのが盆栽です」。
では、鉢植えと何が違うのか?「鉢植えは、植物を健やかに育て花や実を楽しむ。盆栽はこれに加え、鉢の中に雄大な自然の風景を感じられるように、木の造形を作りあげていきます。その表現をするために、剪定や針金成形などをして、例えば枝や葉が風になびいているような表現をしたり、高山に生きる木々の力強さなどを表現します」と説明してくれました。
このように、盆栽は鉢の中で自然を表現するため、針金による枝の誘引、繊細な剪定を行います。中国や韓国にも盆栽は存在しますが、この引き算の美、余白の美こそが、日本の盆栽に息づき、アジアでも高く評価されています。
確かにここ数年、アジアやヨーロッパの盆栽を扱う企業からのSUSteeのオーダーが増加しています。
最後に、牧さんに教えてもらった盆栽の楽しみ方を共有します。盆栽は、左右に枝の広がりがあり、幹の動きがお辞儀をしている方向、つまりやや前傾姿勢になっているところが正面だそうです。下の方から木を見上げるように鑑賞すると、写真や動画では感じられない盆栽鉢で表現する自然というものを感じることができます!
清香園さんの外観や中の様子は、インスタグラム(@bonsai_seikouen)でも見ることができます。実際に訪れてみると、海外のお客さんや盆栽を買いに来た日本の方、そして育て方をスタッフの方に聞いている方がいらっしゃいました。