プランツケアを行うお店「REN」
プランツケアを行うお店「REN」
「シンプルに言うと、一生ものの植物を実現するというのが目的。それを叶えるサービス。それを思いつく限り全部やります」
観葉植物専門店「REN」(東京都港区三田2-17-32)は、地上4階建て・築55年の東京生花の本社ビルをフルリノベーション。白を基調とした店内には、鉢もの植物が天井から吊り下がった白い棚の上に置かれています。
店内にはサーキュレーターなどが置かれ、居心地のいい雰囲気。空間の作り方にはREN独自の美意識が感じられます。
プランツケア?
RENでは、植物を正しくケアし一生ものの植物を育てていくサービス”プランツケア”を行っています。植物を持ち込んで来店され_お客さんの相談にのったり、診断を行った上でケアを施します。
これとか本当にすごい。真ん中に空間がある!
また、自身での管理が難しい場合には、植物を下取りする”リボーンプランツ”というサービスも行っています。RENで植物の再生、再販を行う取り組みです。
カードにはヒストリーが記載
いけばな
RENは、1919年創業のいけばな花材専門店を母体に2005年に誕生。現在の本社ビルに移転し、フルリノベーション後の2021年にリニューアルオープンした。
代表の川原伸晃さんは「うちのお店はいわゆるジャングルを目指さない。いけばな的な美学を大事にしていて、1つ1つをきれいに見せる。となると、スペースが必要になる。1個、1個ぎゅうぎゅうにならないように。いい木が重なっていると、向きを変えたり。いけばな的な発想で、長所を活かす。通気の循環も良くなる。見た目でも、健康でも植物のにはよくない。店全体でいけばなをしている。反ジャングル。一つひとつの植物をきれいに見えるように」
プランツケアやお店の姿勢、取り組みなどは国際的に評価され、RENは2025年に「Global Design Awards」(香港デザイナー協会HKDA主催)を受賞。
川原さんは「裏にどういう思想、サービスがあるかということを踏まえて表彰される。プランツケアがそのままお店になっている。かっこいいね、以上ではなく、それを裏打ちするコンセプトになっていて、海外的にもうちの取り組み、お店、デザインが評価されました」
川原さんは「(RENは)植物の病院みたいなところでもあるし、構想の時点で参考にしていたのはペット業界。ペットショップがあるのに、ペットクリニックがないという状況が園芸業界で起きていた。それって結構過酷ですよね」
「ペット業界を見た時に、園芸業界はおかしいと。生産者さん、市場さんとかに思いをぶつけると『そういうものだろ?ということで頑張って』という反応でした。『枯らしてもらえないと、買ってもらえない』と。そうした商習慣を半分は理解しながらも、もう半分では納得できない自分がいたのでプランツケアをはじめました」
診断を行うコーナー。古物商許可証も取得
約20年前、川原さんがこの取り組みを始めた当時は、持続可能性という言葉や考え方が今ほど一般的ではありませんでしたが、プランツケアの認知は徐々に高まってきています。
植物はインテリア?
植物をインテリアとして扱うユーザーも増えてきています。
「いじわるな言い方だと、インテリアだと思わないでください。生きたインテリアだと思いましょう。普及した反面、本質が忘れられている」
「生き物ですよ、その上でインテリアですよって。とにかくインテリアですっていう文字通りの受け取られ方をして『半年水をやっていません』というお声を聞いたこともあります」お店には「お家の中のいいインテリアを探しに来ました」と話すお客さんも来店。
「いきいきとしているから、インテリアになるんですよ。生きたインテリアだと考えてほしいですね」と伝えているそうです。
川原さんにとって、植物とはどんな存在?
「一生ものの植物というコンセプト。植物は、正しく管理すれば人間よりも長生きする存在。盆栽などがそうであるように、植物は100年も1000年も生きます。本当は人間よりも長生きする存在なのに、その選択肢が用意されていないのがおかしい」「植物は自分を超える存在です。時間的にも生物的にも、超越している。そういう存在として捉える方が、付き合い方が面白くなります。人生の中で貴重な、なかなかない存在。一生ものになりうるもの。それと付き合っていくのが、一番植物との関わりの中で楽しいことだと思っています。自分よりも大きな存在を、自分が育てることが面白い経験。それを実現するためにプランツケアを行っています」
RENは一生ものの植物との暮らしを提案してくれるお店。販売されている植物には、それぞれヒストリーがあって見ごたえがありました。
ちなみにお店ではSUSteeを取り扱っていただいています。要チェック!